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大学等見学会

研究機関・企業現場見学会-静岡県環境衛生科学研究所

令和8年10月9日(金)14:00~16:00

今回の見学会では、静岡県環境衛生科学研究所を訪問しました。

環境や食品の安全、感染症の予防など、私たちの暮らしに深く関わる研究機関です。名前は知っていても、「どのような研究を行い、企業の技術開発や課題解決にどう活用できるのか」まで、具体的に知る機会は意外と少ないのではないでしょうか。

今回の訪問では、研究所の概要や最新の研究事例について説明を受けるとともに、分析機器や試験設備などを見学しました。県民の健康と環境を守るための研究が、どのように進められているのかを知る貴重な機会となりました。

■暮らしの安全と環境を支える研究

冒頭では、白濵光弘所長から研究所の沿革や業務について説明を受けました。

研究所では、環境科学、微生物、医薬食品、大気水質の各分野において、試験検査や調査研究を実施しています。

例えば、環境分野ではPFASなどの有害化学物質やマイクロプラスチックの実態調査、海洋生分解性プラスチックの評価手法の開発、地下水熱の利用に関する研究などに取り組んでいます。また、微生物分野では感染症や食中毒の原因となる病原体の検査に加え、マダニが媒介する感染症に関する調査も行っています。

こうした研究は、環境保全や公衆衛生の向上に貢献するだけでなく、企業の環境対応や新技術の開発にもつながる可能性を秘めています。

・製品開発段階での検証
・数値やデータによる客観的な裏付け

など、現場の経営課題に直結する用途がはっきりしています。

■研究事例紹介

 今回、次の2つの研究事例をご紹介いただきました。

① 駿河湾海底湧水と地下水熱利用

環境科学部環境科学班の村中康秀主任研究員から、駿河湾の海底湧水と地下水熱利用について説明を受けました。

富士山などに涵養された地下水が、駿河湾の海底から湧き出す現象に着目し、その分布や水循環の解明に取り組んでいます。

また、年間を通じて比較的安定している地下水温を、冷暖房などの熱源として活用する研究も進めています。静岡市紺屋町地下街での地下水熱利用の取り組みは、熱供給事業なども想定し省エネルギーのために地下水の熱エネルギーを活用した事例です。

地下水を保有する製紙企業などにとっても、地下水熱の活用は検討に値するテーマです。一方、導入に当たっては初期投資が課題となるため、省エネルギー効果と費用対効果を明確にすることが重要であるとの意見交換も行われました。

② 生物応答試験を用いた水質評価手法

大気水質部水質環境班の石井聖主査からは、生物応答試験を用いた水質評価手法について説明を受けました。

従来の水質検査では、特定の化学物質がどの程度含まれているかを分析します。一方、生物応答試験では、オオミジンコなどの水生生物を用いて、河川水や事業所排水が生物の成長や繁殖などに及ぼす影響を調べます。

個々の化学物質の分析を補完し、複数の物質による複合的な影響も含めて、生物への影響という観点から水質を評価できる点が特徴です。

この手法は、排水の安全性評価や環境負荷の把握など、企業の環境管理にも活用の可能性がある技術です。化学分析の結果だけでは捉えにくい影響を、生物の反応から評価するという考え方が印象的でした。

■研究設備を見学し、現場の取り組みを知る

研究事例の紹介に続いて、参加者は2班に分かれ、環境科学部と大気水質部を中心に施設を見学しました。

LC-MSやGC-MS、原子吸光などの分析機器をはじめ、マイクロプラスチックのサンプル、生物応答試験装置などを通じて、環境中の化学物質の分析や水質評価がどのように行われているのかを知ることができました。また、捕集装置、オートサンプラー付き分析機を見学し、気候変動適応センターの取り組みについても紹介を受けました。

今回の見学では、県の環境衛生科学研究所の研究成果が、環境保全や県民の健康を守る施策に活用されていることを学びました。環境や健康に関する課題を科学的に把握し、検査や分析による研究成果を行政施策や社会の安全確保に生かす役割を担っていることを、改めて実感することができました。

[マイクロプラスチックのサンプル]

[生物応答試験装置]

[テレメーター室(大気水質部)]

[大気分析装置]

■企業の技術課題と研究機関をつなぐ

経営において重要なのは、「すべてを自社で抱え込まないこと」だと改めて感じます。今回訪問した静岡県環境衛生科学研究所のような公的機関は、うまく使えば経営の選択肢を確実に広げてくれる存在です。今回の訪問は、「知っているだけで終わらせてはいけない支援資源が、身近にある」ということを再認識する機会になりました。

今後も、こうした現場に足を運びながら、中小企業の経営者の皆さんにとって“本当に使える情報”を発信していきたいと思います。

今回の訪問を通じて感じたのは、研究機関が企業にとっても重要な技術資源であるということです。

例えば、環境負荷を低減する新素材の開発、製造工程から排出される排水の評価、地下水熱を利用した省エネルギー化など、企業が抱える課題の中には、公的研究機関の知見や分析技術が役立つものもあります。

もちろん、個々の研究テーマについて、企業が直接利用できる設備や相談対応の範囲は確認が必要です。しかし、自社だけでは評価が難しい課題について、研究機関の専門的な知見を活用することは、技術開発の選択肢を広げる一つの方法です。

B-nestでは、産学連携コーディネータが企業の技術的な課題や新製品開発の相談を受け、大学や公的研究機関などとの連携を支援しています。

「自社の技術課題をどこに相談すればよいかわからない」「新しい技術の可能性を検討したい」といった段階でも、外部の研究機関との接点を持つことで、新たな解決策が見つかるかもしれません。

今後も、こうした研究機関や企業の現場を訪問し、地域企業の皆さまにとって役立つ技術情報や産学連携の可能性を発信していきます。