7月より事業実施されている5件の『地域課題に係る産学共同研究委託事業』の、10月末まで実施されている進捗状況について紹介します。
[委託先団体] 株式会社カタヤマ
[連携団体] 株式会社望月鉄工所
[連携大学] 静岡大学農学部 加藤雅也 准教授
柑橘類の中でも温州ミカンには、β−クリプトキサンチンというオレンジ色のカロテノイド色素が多く含まれており、この成分は生活習慣病や骨粗しょう症の予防や改善に効果があるという研究報告があります。
静岡大学での基礎実験により、温州ミカンを収穫した後にカロテノイドを増加させるための光照射条件や追熟条件が得られています。本事業では、それらの条件を提供できる試作機を作成し、その装置内でも同様にカルテノイドを増やせることを実証していくのが目的となります。
事業の進捗状況は、小型装置を試作して10月からその効果を調べる実証試験を静岡大学で開始しております。その中では、気候変動などで色づきが悪く収穫されたミカンでも、この条件下ではきれいな色になり、商品価値も上がることもわかってきました。
この研究成果により予想される効果は、ミカンの高付加価値化と需要拡大です。また、今まで捨てていた摘果ミカンにも適用できれば、摘果ミカンの有効活用の道も開け、ミカン生産農家にも福音となるかもしれません。
この試作した小型試験装置により得られたデータを解析し、条件の設定や装置の改良などを試行していきます。本事業で得られた結果を基に、次には実用の大型装置を開発し、市場に安価に提供することが究極の目的です。
右の写真は、試作した小型試験装置です。
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試作した小型試験装置 |
[委託先団体] 株式会社テクノスルガ・ラボ
[連携大学] 静岡県立大学薬学部 高木邦明 准教授
静岡県立大学教育研究推進部産学連携室 山崎元貴 特許活用アソシエイツ
医療機関では健康状態を知るためにいろいろな診断装置や生体試料を用いた検査をしますが、大学等の研究機関においては、腸内環境を調べて健康状態との関係を知ろうとする研究が注目されています。その研究成果の中で、腸内細菌叢は年齢、食習慣、薬やストレスなどによって変化することもわかり、ヒトの健康状態(アレルギー、肥満など)に影響を及ぼすことも解明されつつあります。
株式会社テクノスルガ・ラボは、微生物の同定に関わる分析を得意としており、腸内環境を知るために腸内細菌の同定やその代謝物を分析することにも取り組んでいます。大学等との共同研究においては新たな分析技術開発を進め、依頼分析でも効率的な手法を採りいれています。
本事業の目的は、腸内環境を調べるために必要なヒトの便を採取する容器を開発することです。
分析対象項目となる物質によって、分析に必要な便の量と容器に入れる保存液も異なります。多くの人から集めるため、誰でも簡単に決められた量を採取できる構造をした採便容器を目指しています。また、容器に入れる保存液は、異なる保存条件でも分析に影響しないような液の開発を考えています。
静岡県立大学薬学部 准教授の高木氏は、ヒト体液を採取する容器を特許申請しており、その容器を基本に今回の目的となる採便容器の開発を共同研究で進めています。今まで検討した結果、その構造を決定し試作することになっています。今後は、できあがった試作品を実際に試験しながら、改良及び低コスト化についても検討していきます。
下の写真は、現在において株式会社テクノスルガ・ラボが使用し、販売もしている採便容器です。
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| 採便容器の組立(株式会社テクノスルガ・ラボ クリーンベンチ内) | ||||||
[委託先団体] GymstickJapan株式会社
[連携団体] 静岡市井川観光協会
[連携大学] 静岡県立大学経営情報学部 国保祥子 助教
本事業の目的は、井川地域の人々との協力のもとに、ノルディックウォーキングというメニューを加えた魅力ある滞在型の観光ツァーを提案し、井川地区に訪れる人を増やして地域活性化を図るものです。
事業を推進するには、地元住民の理解を得ることが大事であり、井川観光協会をはじめ地元関係機関の方々の協力を得て実施していくことになりました。推進体制は、地元の井川観光協会と連携し、地域振興施策にも詳しい静岡県立大学経営情報学部の国保先生と、ノルディックウォーキングに長けたジムステックジャパン株式会社の市川社長とが中心になり、共同で事業を進めています。
井川地域を訪れ、地元の観光資源や住民への聞き取り調査・意見交換をして、いろいろな情報を集めています。また、それと同時に観光客側の意見も聞くため、静岡と東京の大学生を同行させて、訪れた印象や感想なども調査しています。
8月の夏休みに第1回目の調査を行い、10月に第2回目の調査を行っています。今後も、井川地区の調査を数回行う予定となっています。その調査結果をまとめ、来年の3月には良い成果を発表できるように事業を推進しています。
下の写真は、事業を推進するために井川で行った活動状況の一部です。(11月に行った活動写真もいただきましたので、その一部を掲載します)
| ○第1回目(8月) | |
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| 観光資源調査 | 井川中学校の生徒への ノルディックウォーキング講習 |
| ○第2回目(10月) | |
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| 意見交換 | ノルディックウォーキング講習 |
| ○第3回目(11月) | |
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| 地元子供たちとの交流 | ノルディックウォーキング講習 |
[委託先団体] 株式会社靜玄
[連携大学] 静岡県立大学大学院生活健康科学研究科 太田敏郎 助教
本事業の目的は、紫外線対策効果がある茶に着目し、茶葉、茶花や茶実から抽出した成分について、抽出法や抽出液濃度と紫外線対策効果を調べ、肌に効果のある化粧水等の安全な化粧品を開発することです。
原料となる茶葉、茶花と茶実は、自然栽培している静岡市内の茶園に依頼して採取したものを用いております。それぞれの原料を各種抽出法により、各抽出液を作成しました。
紫外線対策効果については、静岡県立大学の太田先生の持つ人工皮膚細胞培養技術により、培養した細胞に抽出液を添加したものに紫外線を照射し、細胞の変化を調べています。
商品開発においては、紫外線対策効果を調べた結果をもとに、株式会社静玄と県立大学及び化粧品のOEM製造企業と3者が共同で検討し、効果のある抽出成分の添加量や各添加材料等を決めて、OEM製造企業にて化粧水や美容液等を試作していくようにしています。この作業は、1月までに初回試作品を作成できるように取り組んでいます。
できた試作品についても、紫外線対策効果を調べるとともに実際に使用して、改良すべき点を検討し、最終試作品を2月までできあがるように事業をすすめています。
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| 茶の花と実 | 実験の様子 | |
[委託先団体] 有限会社藤浪木工所
[連携大学] 静岡大学教育学部 松永泰弘 教授、竹下温子 助教
お茶が健康に良いという効能や機能性についての研究は数多くされてきていますが、本事業では捨てられてしまうお茶の残渣に着目し、これから新たな塗料を作ろうという斬新的な研究開発を行っています。
塗料として必要な耐久性・耐水性・変色についての各要素を改善するため、静岡大学教育学部の松永先生と共同で研究を進めています。また、各種試作品について官能評価を得て、試作品を改良して商品化を目指しています。
本事業から得られる成果は、お茶を用いた塗装技術を市場に提供することにより、各分野で今までと違った価値を付与した商品の開発が進み、さらに需要拡大が進むとお茶残渣廃棄物の減量化にも寄与できるものと期待しています。
下の写真は、試作品の一部と、静岡大学において定期的に行われている事業推進の打ち合わせを行っている様子です。
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| 試作品 | 10月の打ち合わせ |