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地域課題に係る産学共同研究委託事業

平成28年度 研究成果

魚由来ヘム鉄を原料としたメンタルサポートサプリメントの開発

[委託先団体] 株式会社ヘルシーパス
[連携大学] 静岡大学教育学部 准教授 竹下温子
[連携団体] 静岡県工業技術研究所

目的

マグロやカツオ等、魚の血合い肉・血液には、生体に吸収の良いヘム鉄が多く含まれています。これら未利用資源の活用方法の検討と魚由来のヘム鉄が生体に及ぼす影響を明らかにし、鉄製剤用原料としたメンタルサポートサプリメントの製品化を目指しました。

成果

■マグロ・カツオ魚血肉のサプリメント原料化
(1) マグロ解体時の魚血肉(解体切削残渣)の原料化
原料のマグロは、胴体を帯鋸(おびのこ)で2枚におろします。このときの切削残渣を原料とし、フリーズドライで乾燥させ二次原料としました(写真1,2,3)。

[写真1:カツオ解体切削残渣原料]
[写真1:カツオ解体切削残渣原料]
[写真2:フリーズドライの様子]
[写真2:フリーズドライの様子]
[写真3:乾燥粉末]
[写真3:乾燥粉末]

(2) カツオ内臓の自己消化液(魚醤原液)の原料化
カツオの頭・内臓部分をミンチにして、約40℃に加温した状態で自己消化させた液を利用し、フリーズドライで乾燥させ二次原料としました(写真4)。

[写真4:魚醤原液と乾燥粉末二次原料]
[写真4:魚醤原液と乾燥粉末
二次原料]

■マウス投与実験
マグロ解体切削屑をフリーズドライ処理し、得られた二次原料をマウスに与え、社会的なストレス負荷に近い状況を作るために有効な対面式ケージを使って、2週間の飼育を行いました。

その結果、従来の豚由来のヘム鉄に比べ、脳内に多くの鉄分が移行することがわかり、マグロ由来のヘム鉄の優位性が明らかになりました(図1)。

[図1:脳内鉄量]
[図1:脳内鉄量]
まとめ

マグロ・カツオ解体残渣からフリーズドライ二次原料を得ました。マウスに投与したストレス試験では、魚由来のヘム鉄区で脳内鉄分が増えていることがわかりました。今後はサプリメント化に向けた製品化を図ります。

これらのことから、
(1) 市内魚加工業者(鮮魚、罐詰等)の廃棄物・排水処理費の削減が可能となり、加工副産物の付加価値化が期待できます。
(2) 魚由来ヘム鉄サプリメントの実現により、貧血、成長障害、運動能力、免疫機能、メンタルストレス等が改善されれば、静岡市健康爛漫計画の達成に寄与できます。
(3) 現在動物性ヘム鉄原料として主流である豚由来を魚由来とすることで、ハラル対応サプリメントの開発も期待できます。

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