[委託先団体] 清水河岸の市協同組合
[連携大学] 静岡産業大学経営学部 総合研究所 教授 熊王康宏
[連携団体] 一般社団法人静岡缶詰協会、富士電機株式会社食品流通事業本部
ウイズ・コロナで注目されている自動販売機によるお土産缶詰の販売を試行・検証します。@人手不足や対面販売敬遠傾向に対応した、観光地におけるお土産缶詰の自販機事業のビジネスモデルを確立することや、A自販機利用者が『わくわく』するような新製品の開発を推進したいのが狙いです。これにより、地場産業である缶詰業界および観光地のお土産売店などの活性化や静岡市のPR に貢献できるものと考えます。
販売動向分析や販売促進策を検討するため、連携大学・団体で毎月研究会を開催しました。研究会で検討された、ディスプレイ用に中身や調理例がわかるPOPの作成やアンケート調査の実施、販売促進策として静岡産業フェアや上田市防災フェアなどのイベントへの参加、また清水区のマスコット「シズラ」とのコラボキャンペーンも実施しました。
[写真1:学生デザインによる自動販売機] |
[写真2:ディスプレイのPOP] |
販売実績は、表1のとおり、当初想定していた販売目標の50〜60%の実績に留まりました。ただ、コンスタントに約200個/月の販売はできており、底堅い需要があることもわかりました。
[表1:販売実績] |
販売数の多い曜日と時間帯をみてみると、週末の金・土・日曜日、特にサッカーなど近隣でイベントが開催されている日に販売数が多い傾向にあります。時間帯別では圧倒的に12:00〜14:00に多く、まぐろ館の昼食提供時と重なります。また、来場者が少なくなる夕方から夜にかけて販売数も減る傾向にありました。
今回の販売実験での「売れ筋商品」をみると、ご当地・グルメのコンセプトと一致します。また、メディアに取り上げられると、話題性が顧客に伝わり、購入動機にもつながったと思われます。売上の多い商品は、白色パッケージを除き、オレンジ・黄色など、暖色系を基本とする色が好まれる傾向にありました。黄色・オレンジは、色彩心理において、感動を与える色、力の出る色であり、購入者はワクワクして購入していると考えらます。
価格帯別の販売動向を分析すると「売れ筋商品」の価格帯からも、低価格の商品からも特に売れているようには観られません。前述のように、メディアに取り上げられた商品が売れていることからして、価格と販売数との間に強い相関関係はないと言えます。
先にも述べたように、販売数量は予想よりも少なかったが底堅い需要があることから、「売れ筋商品」の選定や自動販売機の設置場所等を工夫することで、ビジネスモデルとしても十分に成立するものと確信しました。
新製品開発までには至りませんでしたが、お土産缶詰の価格特性や「売れ筋商品」のパッケージデザイン、さらにコンセプトとして「ご当地グルメ」「高品質」と、それぞれの要素を組み合わせることで、ヒット商品を生み出すことに繋がるとのヒントを得ることができたことは、大きな成果と考えています。