【委託先団体】静岡薬用植物研究会
【連携団体】JA静岡市
【連携大学】静岡県立大学薬学部 准教授 五十里彰
漢方薬は中国の国内及び海外においても需要が拡大しており、海外から原料を入手するのが難しくなってきている日本の製薬会社は、日本国内で薬用植物原料を確保できるように栽培圃場の拡大を進めています。
それを受けて、本研究会では薬用植物であるミシマサイコの栽培を広めるために、農家の方々に育成から収穫までの技術を普及する役目を担い、JA静岡市などの協力を得て活動しています。播種から収穫までの栽培作業においては問題もなく、山間地でも鳥獣被害も無いなどの利点も確認されました。ただ、収穫後の根の洗浄作業に大きな課題が残りました。
4月 ミシマサイコ播種講習会 | 7月中旬 駿河区小鹿圃場の発芽状況 | 10月下旬 駿河区小鹿圃場の開花状況 |
それは、栽培した適正な漢方薬原料とするため、収穫したミシマサイコの根をきれいに洗浄してヒゲ根を除去する作業に多くの人手がかかることでした。栽培する農家を増やし栽培面積を拡大するには、この洗浄工程の労力を軽減することが必須要件となったのです。
収穫したミシマサイコ | 洗浄後に根の上部を切断 |
人手作業に替わり、収穫した根を金網に挟んで高圧水洗浄装置を用いて根の洗浄とヒゲ根の除去を同時に行うために、架台を試作して実際に洗浄を行いその効果を検証しました。その結果、大幅に効率が上がり、初期投資額10万円を切る安価な洗浄方法を提案できることもわかりました。今後は今回の実証データを活用し、薬用植物栽培の普及に取組んでいきます。
洗浄用の試作架台 | 試作架台を用いた洗浄の様子 |