[委託先団体] 株式会社正悦
[連携大学] 静岡県立大学食品栄養科学部 教授・副学部長 三浦進司
当社は、静岡市内において9店舗の居酒屋を経営しており、「すっぱみかん」サワー(商標登録)というお酒をメニュー提供しています。摘果青蜜柑を絞り、そのエキスを適量配合、調整してアルコールサワーに仕上げています。青蜜柑の旨さが際立った商品として大変好評を得ています。 |
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[写真1:「すっぱみかん」サワー] | |
そこで本研究では、未利用摘果青蜜柑の果汁・果皮に注目し、成分分析とともに、アルコール性脂肪肝抑制効果の検証を行い、また青蜜柑を素材とするチューハイの素、ジュースやゼリーなど、応用製品の開発にも研究を進めることを目的としました。 |
平成29年夏の終わりにかけて、農家の協力を得ながら温州摘果青蜜柑を5 トン収穫しました。
成分として注目されるのは、β- クリプトキサンチン、ノビレチンやへスぺリジンなどのフラボノイド類です。この粉末素材をアルコール摂取マウスに与え、肝臓トリグリセリドTG(中性脂肪、肥満の指標)の増減、血中マーカー(γ-GTP、アルデヒド濃度)との関係について実証試験を行いました。
その結果、一部の果汁では肝臓TG蓄積量を低下させる傾向を示しましたが、統計上の有意差を認めるほどでなく、再現性の検証を必要としました。
一方、応用製品開発においては、県産青蜜柑の果汁・果皮を使用した「チューハイ・チューハイの素」、飲酒前に飲む「大人向けジュース」「ゼリー」の商品化に向けて試作しました。
「すっぱみかん」サワーを商標登録して権利を確保するとともに、さらに他の試作品についても商品化の目途がつきました。
また、摘果青蜜柑とアルコールの抱き合わせでは、アルコール性脂肪肝予防効果に繋がる科学的なエビデンスについて継続して研究を進めます。
さらに、副産物の柑橘類果皮にはフラボノイド類が豊富に含まれていることもわかり、その効果の検証に向けても引き続き静岡県立大学の研究室及び関連企業と共同研究を進め、新商品開発に繋げて行く計画です。