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地域課題に係る産学共同研究委託事業

平成29年度 研究成果

機能性表示食品を目指したヨーグルトソースの開発

[委託先団体] マコジャパン株式会社
[連携大学] 静岡県立大学食品栄養科学部 教授 新井映子
[連携団体] 静岡県農林技術研究所、静岡県工業技術研究所

目的

平成28年度、「腸内フローラの改善を目指した高機能性柑橘加工品の開発」をテーマに、沼津市の戸田香果橘(へだたちばな)を活用し、整腸作用効果が期待できる機能性成分イヌリン(図1)を配合したヨーグルト専用ソースの開発を行いました。

また、イヌリン素材については、原料を提供いただいたフジ日本精糖株式会社が平成29年に機能性表示を取得し、「おなかの調子を整える」機能を商品に表示できることになりました。

[図1:イヌリンの模式図]
[図1:イヌリンの模式図]

これらの状況を踏まえ、(1)イヌリンの機能性表示取得、(2)毎日飽きずに食べられる商品ラインナップの充実を目標として、静岡市特産のイチゴ、アマナツ、ブルーベリー、抹茶を原料に、弊社独自の低温濃縮技術を活用し、さら機能性成分イヌリンを高濃度に含有することで、機能性表示が可能なヨーグルト専用フルーツソースの開発に取り組みました。

成果

■イヌリンおよびショ糖の配合比を検討
イヌリンを高濃度で配合しつつ、甘味と物性が保たれる最適の比率を求めました。

■ヨーグルトソースの試作およびpH調整
イチゴ、アマナツ、ブルーベリーの低温濃縮果汁および抹茶を使用し、上記で求めた配合比で4種類のヨーグルトソースを試作しました。イヌリンがpH3.0程度の酸性条件下で分解されやすいことから、pHを3.9に調整した試作品も作製しました(写真1)。

[写真1:各種試作ヨーグルトソース]
[写真1:各種試作ヨーグルトソース]
(左側:pH調整なし、右側:pH調整あり)

■試作品の香気成分測定および官能評価
試作品の官能評価およびGC/MSによる香気成分測定を行った結果、pHよる香気成分の変化はあまりなかったものの、風味が多少劣ることがわかりました。

■試作品の保存試験(25℃、37℃)によるイヌリン濃度および色調変化測定
pH調整により、イヌリンの減少および色調の変化を抑制できることがわかりました。抹茶ヨーグルトソースについては、pH調整なしでも機能性表示取得に必要なイヌリン濃度(4.5g/包・20g)を2ヶ月間保持できることがわかりました(図2)。

[図2:各種試作ヨーグルトソースのイヌリン濃度経時変化]
[図2:各種試作ヨーグルトソースのイヌリン濃度経時変化]
まとめ

イヌリンを高濃度に配合したイチゴ、アマナツ、ブルーベリーおよび抹茶風味のヨーグルト専用ソースを試作しました。これらにpH調整を施すことで、イヌリンの減少を抑制することができましたが、一方で、風味が変わることもわかりました。

今後は、pH調整の不要な抹茶ヨーグルトソースを中心に、機能性表示申請と販売開始に向けて取り組みを進めていきます。

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