[委託先団体] 三和建商株式会社
[連携大学] 静岡大学農学部 准教授 一家崇志
[連携団体] 静岡県工業技術研究所
建物を解体する際に廃棄する廃石膏ボードの量は2032年には200万トンと予測され、処理方法には最終処分場での埋立処分や、処理施設で分離した廃石膏を土壌固化材に再利用する方法が用いられています。 |
![]() [写真1:廃石膏ボード] |
本研究では、下水汚泥焼却灰と廃石膏からリン酸カルシウムを産生します。焼却灰中にはリン資源が豊富に含まれ、アルカリ条件下で廃石膏と反応させるとリン酸カルシウムが得られます。ここでは、最適な条件出しと、実用化プロセスに向けた試算例を示します。また、植栽試験や原料の廃棄物及びリン酸肥料を分析し安全性を確認します。 |
|
![]() [図1:リン回収プロセス]
|
下水汚泥焼却灰と廃石膏との最適な反応条件(量論比、温度、時間、pH等)を確定しました。これにより、リン酸カルシウムとして抽出・回収できることに目途をつけました。また、原料に由来する重金属類についても基準値以下であり、安全性を確認しました。 |
[表1:リン酸肥料の重金属含有量一覧]![]() |
さらに、試作したリン酸肥料の品質確認のため、静岡大学農学部でコマツナを栽培し、生育状況を標準施用リン酸肥料と比較した結果、写真のようにいずれも旺盛に育っており、特に生育障害は見られないことが判明しました。 |
|
![]() [写真2:リン酸肥料の植栽試験結果] |
廃石膏ボードと下水汚泥焼却灰の有効利用方法に活路を開きました。両者を最適条件で反応させると、枯渇するリン資源として回収できることがわかりました。また、植栽試験の結果、リン酸肥料として十分に利用できることも明らかとなりました。
今後は、実証設備の建設を目指すべくシステムプロセスの検証を通じ、リン酸肥料の製造に向けた取組みを進めていきます。