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B-nest(ビネスト)TOP > 産学連携推進事業 > 地域課題に係る産学共同研究委託事業 > 令和4年度研究成果 Blue Farm株式会社

地域課題に係る産学共同研究委託事業

令和4年度 研究成果

 【基礎コース】

茶園における温室効果ガスの吸収及び削減量のJ-クレジット化事業

[委託先団体] Blue Farm株式会社
[連携大学] 静岡大学農学部 生物資源科学科 准教授 南雲俊之

目的

図1:茶園からの温室効果ガスの削減及び吸収方法
   [図1:茶園からの温室効果ガスの削減及び吸収方法]

本研究では、茶園由来のカーボンクレジット(以下、クレジット)の創出を目指しました。@茶園の新規開園時には、茶樹の成長による二酸化炭素(以下、CO2)の吸収量、A茶園の栽培時には、有機栽培による一酸化二窒素(以下、N2O)の削減量、B茶園の改植時には、廃棄茶樹をバイオ炭にすることによる炭素貯留量について、それぞれクレジット化の可能性を検証しました。

@とAについては、方法論が存在しないので、新規方法論の確立を目指し、Bについては、方法論が存在するので、既存方法論への適用が可能か検証しました。

成果

■【研究@】茶園の新規開園によるCO2吸収量のクレジット化
日本国温室効果ガスインベントリ報告書(2022)には、「樹園地における生体バイオマスの炭素ストック変化量」が書かれており、これを利用して茶園が成園になった時の炭素ストック量を算出しました。茶園の炭素ストック量は、84.5tCO2になります。耕作放棄地に新規開園すると、炭素ストックの増加としてカウントされます。一方で、耕作放棄すると炭素ストックはゼロになるので、クレジット化をするためには、茶園の永続性の保証、認証制度の課題があります。

■【研究A】有機栽培によるN2O削減量のクレジット化
有機JAS農家にヒアリングし、施肥の実態を把握しました。
慣行540kg/haに対して、30%減(300〜400kg/ha)の窒素投入量で有機栽培が成立していました。この条件で、茶園での窒素肥料使用に伴うN2O直接排出量を試算しました。有機農法によって、年間2トン程度のCO2を削減する可能性があります。今後クレジット化をする上では、追加性の証明をしていくことが課題になります。

[表1:茶園での窒素肥料使用に伴うN2O直接排出量の試算]
窒素肥料
Nkg/ha
N2O排出係数$
N2Okg/Nkg
N2O直接排出量$
N2Okg/ha
CO2等量$$
kg/ha
CO2削減量
kg/ha
備考
540 0.029 24.6 7333 - 現行の施肥標準
432 0.029 19.7 5867 1467 窒素肥料を20%削減
378 0.029 17.2 5133 2200 窒素肥料を30%削減
324 0.029 14.8 4400 2933 窒素肥料を40%削減
540 0.021 17.8 5310 2023 硝化抑制剤入り肥料の使用

■【研究B】茶の樹体からのバイオ炭製造によるクレジット化
改植のために伐根した茶樹を原料として、無煙炭化器を使用してバイオ炭を製造し、既存の方法論で求められる精煉度の基準を満たすのか検査しました。その結果、茶樹バイオ炭の精煉度は3.5〜5.2で、バイオ炭の品質保証(精煉度0〜 9)を満たしました。今後はモニタリング方法について対応策の検討が必要になります。

原料 バイオ炭
[写真1:茶樹バイオ炭の製造]
[表2:茶樹バイオ炭の精煉度]
原料 平均 標準
偏差
変動
係数
標準
誤差
最小 最大
生木(1か月前伐採) 4.7 2.5 53 0.3 1.4 >9.0
自然乾燥3か月 5.2 2.5 47 0.2 1.4 >9.0
自然乾燥12か月 3.5 2.3 66 0.2 1.2 8.7
まとめ

お茶の栽培活動による温室効果ガスの排出削減効果とともに、クレジット化の課題についても明らかになりました。茶園由来クレジットが、地域活性化へのインセンティブとして働く可能性があるので、課題を克服しクレジット化を目指していきます。

[表3:各施策の効果と課題]
No. 施策 吸収&削減効果 課題 今後の対応
@ 茶園の新規開園による
CO2吸収量のクレジット化
開園時85tCO2eq/ha 永続性の担保 行政機関との協業
A 有機栽培によるN2O削減量の
クレジット化
窒素量-30%で
2.2tCO2eq/ha/y
追加性の有無 Jクレジット事務局
との交渉
B 茶の樹体からバイオ炭製造
によるクレジット化
5.7tCO2eq/ha モニタリング
方法品質
100年炭素含有率

概要報告書のダウンロード

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