[委託先団体] すまうと
[連携大学] 静岡大学農学部 准教授 小林研治
[連携団体] 静岡県工業技術研究所
スギは軽く、柔らかく優しく、温かく、単位重量当たりの繊維方向の圧縮強度は鉄よりも強く、調湿性能、保温性能に優れ、香り成分には鎮静効果、空気清浄効果などがあるといわれています。このスギの性能は家具に適した材料といえます。当社ではすでに遠赤外線低温(約45℃)乾燥機をつくり、スギの乾燥がコントロールできるようになっています。
本研究では、スギの性能を家具として生かすことを目的に、スギ材の性能を他の樹種と比較することで把握・確認を行いました。
低温乾燥スギ、中温乾燥スギ、ヒノキ、キリ、サクラの5樹種について、揮発性物質の種類とその量、吸放湿性能、保温性能、防カビ性能、防虫性能、防ダニ性能について比較を行いました。その結果、低温乾燥スギはテルペン系の香り成分(揮発成分)が確認され(図1)、防カビ効果があり(表1)、調湿効果も高いこと(図2,3)が確認されました。
[図1:セスキテルペン総含有量] (α- ピネン気中含有量換算) |
[表1:防カビ試験結果] (数値が小さいほどよい) |
[図2,3:スギ材で試作した抽斗箱の吸放湿試験結果](左:抽斗開閉無、右:抽斗開閉有) |
これらより、低温乾燥スギは比較した他の樹種と同等以上の性能を有し、スギならではの家具開発が可能であることが示唆されました。
低温乾燥スギは家具をつくる素材として優れた性能を有していることが確認されました。その性能を生かす製品として、防カビ効果や調湿効果を利用した食品や衣類の収納類、安眠を促すベッドや枕、空気清浄効果や調湿効果を利用した壁面収納や衝立など、香り成分のリラックス効果を生かした入浴グッズなどを考えていきたいと思います。
また、高価・高性能で知られているキリ箪笥がありますが、スギ箪笥がより高い性能の高級箪笥となり得る可能性も期待できます。