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B-nest(ビネスト)TOP > 産学連携推進事業 > 地域課題に係る産学共同研究委託事業 > 平成30度研究成果 するが夢苺株式会社

地域課題に係る産学共同研究委託事業

平成30年度 研究成果

省力的石垣イチゴ栽培技術と端境期用商品の開発

[委託先団体] するが夢苺株式会社
[連携大学] 静岡大学農学部 教授 鈴木克己、静岡英和学院大学短期大学部 教授 前田節子
[連携団体] 一般社団法人あおい文化交流研究所

目的

100年以上の歴史を持つ静岡市の久能石垣イチゴですが、高低差がある山の中腹を利用しているため、石垣を組み直す作業、多棟ハウスの窓の開閉作業などが重労働のため苦戦しています。

本研究では、不耕起栽培などの各種技術を導入し、省力的な石垣イチゴ生産技術の確立、魅力ある石垣イチゴオリジナル商品開発を目的としました。

[写真1:石垣イチゴ]
[写真1:石垣イチゴ]
成果

石垣の隙間にイチゴ苗を定植していた従来法に変え、育苗ポットを直接定植する技術を開発しました。ポット下側にスリットを設け、根張りと養分の吸収も十分にできるようにしました。

大学での試験では、一般的な土耕栽培と石垣栽培を模した区をつくり、頂果房の開花日について調査したところ、平置きの60P区は慣行区に比べて有意に早くなり、傾斜区も含め、60P区で開花が早まりました。


[写真2:使用した育苗ポット]
[写真2:使用した育苗ポット]
(左からUP、60LP、60P)
[写真3:大学での栽培の様子(平置き区)]

[写真3:大学での栽培の様子(傾斜区)]
[写真3:大学での栽培の様子]

石垣イチゴ栽培で試したところ、初期に灌水が不十分で枯れた株も少しありましたが、正常に育った株ではその後の収量差は見られませんでした。また、石垣イチゴのハウスを連棟化して、自動巻上機を取り付け、内部の温度を精度よく管理できることを確認しました。以上のことから、育苗と換気作業の省力化に道筋をつけました。

[図1:石垣栽培における育苗ポット直接定植]
[図1:石垣栽培における育苗ポット直接定植]

端境期商品のためには、イチゴの風味を損なわず乾燥粉末化が重要です。従来までイチゴは難しいとされていましたが、「マイクロ波減圧乾燥機」の利用により、色や香りを損なわず、砂糖等も使用しないイチゴパウダーの作成ができました。このパウダーを利用して、久能石垣イチゴスイーツ新規商品の開発を行いました。また、イチ ゴの収穫時期には、パン生地で生イチゴを包み焼成した「久能石垣イチゴパン」を試作し、フランス料理レストラン(アンテラス)と連携し「久能石垣イチゴ尽くしメニュー」を開発しました。


[写真3:生イチゴを利用した加工品とイチゴ尽くしメニュー] [写真3:生イチゴを利用した加工品とイチゴ尽くしメニュー] [写真3:生イチゴを利用した加工品とイチゴ尽くしメニュー]

[写真3:生イチゴを利用した加工品とイチゴ尽くしメニュー] [写真3:生イチゴを利用した加工品とイチゴ尽くしメニュー] [写真3:生イチゴを利用した加工品とイチゴ尽くしメニュー]
[写真3:生イチゴを利用した加工品とイチゴ尽くしメニュー]
まとめ

自動開閉装置を備えた連棟ハウスで、ポット苗直接定植による不耕起栽培を行うことで、石垣イチゴの省力栽培が可能になりました。今回作成した商品を地元のベーカリーで購入することや、フレンチレストランでのイチゴ尽くしメニューを味わうことは、イチゴ狩りに伴うレジャーの多様化につながり、客層の拡大が期待できます。

以上のような取り組みにより、久能石垣イチゴの生産性向上、生産地としての魅力の強化、今後の発展が期待でき、静岡市の農業、観光業、産業を合わせた6次産業化に貢献すると思われます。

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