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地域課題に係る産学共同研究委託事業

平成30年度 研究成果

ドローンを利用した新たな航空レーザー計測方法の開発と展開

[委託先団体] 平井工業株式会社
[連携大学] 静岡理工科大学理工学部 特任講師 田村 博
[連携団体] 株式会社シーズプロジェクト、株式会社未来システム工房 静岡営業所、合同会社ベストプラクティス・マネジメント 静岡オフィス

目的

GPSがないと3次元計測ができない現状において、GPSを使用しないSLAM(Simultaneous Localization and Mapping の略:スラム)という自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術を利用した、ドローンによる新たな計測技術の開発を行いました。

[写真1:LS搭載ドローン]
[写真1:LS搭載ドローン]
成果

現在、国土交通省が採用している3次元計測と、SLAMによる計測方法とを比較しました。

静岡理工科大学キャンパス内のグラウンド(概ね0.5ha)を標本とし、航空写真測量、航空レーザー測量、定置型レーザー測量及び航空SLAM・レーザー計測の4種類の計測方法にてクロスチェックを行い、得られた点群データのバラつきを比較して精度評価を行いました。

[写真1:静岡理工科大学グラウンド]
[写真2:静岡理工科大学グラウンド]
[図1:航空LS測量 点群キャプチャー]
[図1:航空LS測量 点群キャプチャー]
[図2:SLAM 点群キャプチャー]
[図2:SLAM 点群キャプチャー]

図3は、4種類の点群データを重ねてからグラウンド中央の横断面を抽出したものです(緑:航空写真、黄:航空レーザー、赤:定置型レーザー、水色:SLAM)。どのデータも地形をほぼ正確にトレースしており、SLAM計測の点群データもそのレンジの中にあることを確認しました。このことからSLAM計測の精度は他の方法と同様に信頼できるものであり、建設分野に適合すると判断しました。

[図3:No.40 点群横断図]
[図3:No.40 点群横断図]

また本研究では、SLAM技術の特徴に注目し、同大学建築棟の外側と内側を同時にスキャンする「たてものまるごとスキャン」を試みました。図4 は、はじめにドローン搭載したSLAMレーザースキャナで建物の外側を計測した後、そのスキャナの電源を切らずにドローンから降ろして手に持ち、建物内部を歩いて計測したフローです。これはSLAM計測の基準が自機位置ではなく動かない目的物であることと、本件で採用したホバーマップ(Hovermap)という機器が、ほとんど死角を持たないことにより実現したものです。

[図4:「たてものまるごとスキャン」フロー]
[図4:「たてものまるごとスキャン」フロー]
まとめ

SLAM技術が閉塞感の強い建設分野に新風をもたらすことを期待するとともに、この技術の成熟に尽力し、さらなる精度向上及び計測業務の効率化ならびにその成果物データの活用に取り組んでいきます。

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