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地域課題に係る産学共同研究委託事業

令和5年度 研究成果 栗田靜電

基礎コース

AIの利用によるスキルに基づく従業員配置自動化の研究

[委託先団体] 栗田靜電株式会社
[連携大学] 静岡理工科大学総合技術研究所 客員教授 工藤 司

目的

■目的①
各時間帯の作業と従業員スキルをマッチングした配置計画を自動で作成できるようにし、管理作業の効率化と生産効率の最適化を図ります。また、配置計画に要する時間50%削減を目標に設定しました。

■目的②
従業員スキル・データを自動で収集し、①の配置計画に反映させます。これにより従業員のスキルアップと多能工化を図ります。個人のスキルが顕在化することで、スキルやコツを波及させやすくなり、全体としてのスキル向上にもつながります。そして、最も重要なこととして、客先に安定した品質の製品を提供することを目標とします。

研究成果

従業員の配置を極力自動化し、管理者の負荷を削減するために、まずはホワイトボードの配置表を電子版に変更しデジタル化しました。これをグーグルスプレットシートで作成・共有することにより、社員が携帯するiphone 端末での確認が可能になり、複数個所・リアルタイムでの変更・閲覧を行えるようになりました。現場の風景は【BEFORE】→【AFTER】が示す通りパネル化されており、ボード前での打合せ風景がなくなり、誰でもリアルタイムでの閲覧・変更が可能になりました(写真1,2,3)。

【BEFORE】

[写真1:手作業での配置図調整]

【AFTER】

[写真2,3:配置図のデジタル化]

研究開始時(2023/7/7)に翌日の配置作成に費やす業務時間は1時間(3,600秒)でしたが、研究終了時(2024/2/29)の業務開始から終了の時間を計測したところ、6分57秒(417秒)という結果が確認され、時間計算-88.42%の削減に成功しました。

また、AI(人工知能)を活用し、動画から物体の検出や、作業動作の情報読み取りが可能なシステムYOLO(You Only Look Once)により、手の移動の軌跡から作業者のスキルを把握する方式を試みました(写真4)。

[写真4:AIで分析できた動作]

まとめ

近年、勤務時間の多様化が進む中、製造業だけでなく、医療や船舶などの様々な業種で必要なスキルの人材を、いつ・どこに配置するかという計画を効率化する需要は、より高まっていくと予測されます。一方、本研究で開発した方式や知見は、同様の悩みを抱える企業に共有、展開することができます。この研究を通じて、弊社だけではなく、製造業全般の悩みである、省人化の推進と業務効率化の発信につながれば幸いです。

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