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地域課題に係る産学共同研究委託事業
基礎コース
AIによるプラスチック射出成形不良の原因分析と発生予測
[委託先団体] 愛工業株式会社
[連携大学] 静岡理工科大学情報学部 特任教授 富樫 敦
目的
本事業の目的は、蓄積したビッグデータとリアルタイムデータを活用して不良発生を予測するシステムを構築し、AIの活用によって不良ロスを最小化することです。また、ベテランの経験と勘に頼った不良の分析を補填する手法についても検討いたします。
本報告では、AIで活用するビッグデータの生成と、ビッグデータを解析するモデルの選定という課題に取り組み、不良発生を予測し注意喚起を行うシステム(図1)の基盤構築についてご報告いたします。

[図1:システムイメージ]
成果
■ビッグデータの生成
表1に示す2024年6月1日~2024年10月30日の6ヵ月分のデータを取得し、300万行のビッグデータを生成しました。
そのうち60%を訓練データ、20%を検証データ、20%をテストデータとして、データ解析とモデル評価を行いました。
[表1:取得データ]
データ 主な内容 更新頻度 電子日報
成形機情報
成形ショット製品、不良情報
操作情報
成形データ更新都度
操作毎
生産サイクル毎環境情報 工場温・湿度 1min毎 水温・流量 1min毎
■不良予測モデルの選定と評価
表2に示す6つのモデルを選定し、モデル構築、データ学習、不良予測、モデル評価を実施しました。
モデル性能評価には、二値分類機械学習モデルの性能を測る指標として用いられる混合行列を使用し、正解率(Accuracy)、適合率(Presision)、再現率(Recall)、Fスコアを算出しました。
[表2:検討モデルとその評価]
モデル名 正解率 適合率 再現率 F値 決定木 0.83 0.0004 0.23 0.008 ランダム
フォレスト0.99 0 0 0 OneclassSVM 0.99 0 0 0 Isolation Forest 0.99 0 0 0 リッジ回帰 0.71 0.0003 0.29 0.0005 Neural Network 0.41 0.0006 0.63 0.001
実データでは、抽出したパラメータと不良の発生期間の因果関係を示すデータ(図2)を確認しましたが、機械学習モデルとしては改善が必要な結果でした。元データにおける不良率が極めて低く、不良でないデータが過剰に学習されたことで過学習が発生した可能性が高いと考えられます。

[図2:実データ確認(パラメータ変化と不良発生)]
今後はデータバランスの改善や、ハイパーパラメータ調整、閾値最適化を通じて、不良予測の精度向上を図ります。

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