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地域課題に係る産学共同研究委託事業

令和5年度 研究成果 清水河岸の市

発展コース

アフター・コロナ時代におけるインバウンドを含む観光客向け缶詰の自販機販売の事業化と新製品コンセプトづくり

[委託先団体] 清水河岸の市協同組合
[連携大学] 静岡産業大学総合研究所 経営学部 副所長(教授) 熊王康宏
[連携団体] 一般社団法人静岡缶詰協会、株式会社静鉄リテイリング、株式会社日本旅行浜松支店、富士電機株式会社食品流通事業本部

目的

コロナ禍が収束し、インバウンドを含めた観光客・旅行者が急増しています。一方、人手不足の傾向は継続しており、観光地や主要交通機関において、お土産の自販機販売も増加傾向にあるのも事実です。

今回、インバウンド(外国人旅行者)を含めた観光客をターゲットにお土産缶詰の自販機販売の最大化を目指し販売実験を行いました。あわせて、販売施設を1か所増やし、目的型施設と通過型施設でどのような差異があるかを検証することが、今後の事業化にとって重要であると考えました。これらにより、お土産缶詰の自販機販売の事業化を目指しました。

[写真1:インバウンド向けパンフ]

さらに、静岡産業大学の熊王教授に観光客などの感性(味覚・ネーミング・パッケージ・コンテンツなど)を調査・分析いただき、お土産缶詰の新製品開発に挑戦しました

成果

■販売実績

期間中の販売実績は、販売数・販売金額ともに前年と比べ苦戦しました。前年度の月平均販売数が226個、月平均売上高は109千円。本年度は180個(前年同期比79.6%)、90千円(82.6%)でした。ただし、販売商品の値上げなどが反映され、平均販売単価は前年483円に対し、本年は500円(前期比103.5%)でした。

販売動向と河岸の市周辺でのイベント(11 月のしみずワクワクまつり等)との関連が強いことも再認識しました。

インバウンドへの対応については、実際の販売数を把握することは難しいが、自販機の販売状況を観察する中で、3度ほど外国語のチラシを見ながら購入している様子を目にすることができました。

また、観察する中で「これがうわさの缶詰自販機だね」との会話を何度か聞くこともありました。2年目に入り「お土産缶詰自販機」の知名度アップを実現したと感じました。

■新商品の開発

今回、静岡産業大学の熊王教授が中心となり、専門の感性マーケティングの手法で新しいツナ缶(みかんとシナモン香る鮪油漬け)の開発を進めました。山梨罐詰株式会社の協力を得て製造し、ラベルデザインも決まり、3月中旬に発売することができました。マスコミを招き、新製品発売セレモニーを大々的に行いました。

[写真2:学生が考案した新製品]

まとめ

お土産缶詰の自販機販売の事業化の可能性については、まぐろ館の2年間の販売実績から月間の平均販売数量204缶、平均販売金額100千円でした。リース料は42千円、電気料が4~5千円であり、お土産缶詰の値入率を5掛けにすると採算は十分に取れることがわかりました。

静岡缶詰協会会員全てに関わってもらうことを原則としたため、商品の品揃えに制約がありました。今後、販売数量の最大化に向けての品揃えの強化が自販機事業化実現の第一歩となります。また、インバウンドへの販売アプローチも河岸の市の周辺でも増加傾向にあり、継続して外国語のチラシ等でPRし、インバウンド向けお土産品のひとつのコンテンツとしていきたいです。

次に設置施設の属性による販売動向等の分析・研究ですが、サービスエリアでは缶詰売り場との併設の中で単純比較がなかなか難しく、有効な分析ができませんでした。ただし、千円を超える商品の販売を試行、想定以上の販売があるなどの成果がありました。

最後に大きな目的であったお土産缶詰の新製品開発ですが、熊王教授とゼミ生を中心に、山梨罐詰株式会社のサポートを得て発売することができました。この手法はプロダクトアウトに頼りがちな食品会社にとって画期的なマーケットイン手法であり、学ぶ点が多かったです。

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