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地域課題に係る産学共同研究委託事業
【発展コース】
人工海藻C-lantを活用した新しい藻場造成手法の確立とビジネス化に向けた実証
[委託先団体] 株式会社東海アクアノーツ
[連携団体] 静岡市海洋産業クラスター協議会
目的
本事業(発展コース)は、カンボジア政府水産局が実施するFAO(国際連合食糧農業機関)出資プロジェクトへのC-lant 採用を目指し、カンボジア・ケップ州沿岸に試験設置したC-lantの追跡調査を行うとともに、現地カウンターパートとの親交および協力関係の強化を目的として実施しました。
また、今後の東南アジア諸国への展開を視野に入れ、タイ・バンコクのSEAFDEC(東南アジア漁業開発センター)において、C-lantによる藻場造成手法のプレゼンテーションを実施しました。

[図1:人工海藻C-lant]
これらの活動を通じ、C-lantの海外展開および国内での社会実装を目指したノウハウの構築を目的としました。国外での活動をスムーズに行えるよう異文化言語環境に対応する写真を多用したマニュアルを作成しました。
成果
①C-lantの追跡調査・カンボジア水産局調査
2024年2月29日にカンボジア・ケップ州沿岸の水深3m地点に設置したC-lant 藻場を対象に、設置5か月後の追跡調査を実施した結果、C-lantの蝟集効果により、撮影期間を通して魚介類が確認されました。8月2日、沿岸の街カンボットから首都プノンペンに戻り、カンボジア水産局にて調査完了報告を実施しました。報告の結果C-lantは評価され、我々の対応は、欧米のように資金を提供するだけではなく、3度にわたるカンボジア訪問、提案、現地作業、報告まで行う点も評価され、「ぜひ一緒に仕事をしたい」というありがたい言葉を頂きました。8月5日にはプノンペンの水産局に簡易的な報告書を提出し、Chin Leakhena氏とFAOプロジェクトへの申請に向けた打ち合わせを行いました。

[写真1:C-lant藻場]

[写真2:カンボジア水産局報告]
②SEAFDECにおけるC-lantによる藻場造成手法のプレゼンテーション
今後の東南アジア諸国への展開を視野に入れ、タイ・バンコクにあるSEAFDEC(東南アジア漁業開発センター)において、カンボジアでの成果報告と、C-lantを用いた藻場造成手法のプレゼンテーションを実施しました。
なお、弊社はSEAFDECでプレゼンを行った初の民間企業です。SEAFDECは、東南アジア地域の漁業開発促進を目的とした地域的国際機関です。

[写真3:SEAFDEC]

[写真4:SEAFDECプレゼンテーション]
③異文化言語環境に対応する写真を多用したマニュアル作成
国外での活動を円滑に行うため、写真を多用した異文化・多言語環境対応のマニュアルを作成しました。東南アジア諸国は、公用語が国ごとに異なるだけでなく、多民族国家であるため言語が多様です。また、近年識字率は向上しているものの、地域格差や社会的要因により識字率の低い地域も存在します。そのため、マニュアルは文字情報を最小限に抑え、視覚的に直感的な理解が可能な写真を多用しました。

[図2:マニュアル]
■まとめ・期待できる地域への波及効果
C-lantの海外設置は、カンボジアとエリトリアを含め、今回が2例目です。海外展開にあたり、まず求められるのは「日本での実績」であり、それがなければ海外展開は望めません。基礎・応用コースの静岡での実績があったからこそ、発展コースの海外設置が実現しました。
現在、日本国内では五島列島や御前崎市での試験設置が検討されています。また、静岡海洋DXに関わるマリンインフォマティクス研究機構の研究開発プロジェクトにおいてC-lant の検証を進め、静岡県の海洋課題の解決にも貢献していきます。これらの取り組みにより、C-lantの実績と認知が進み、ブルーエコノミー分野での事業化を実現することを目指します。
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