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地域課題に係る産学共同研究委託事業

令和5年度 研究成果 おいしい産業

発展コース

由比漁港周辺海域における養殖アカモクのビジネス展開

[委託先団体] おいしい産業株式会社
[連携団体] 由比港若潮研究会、静岡市海洋産業クラスター協議会

目的

本発展コースでは、アカモク養殖をビジネスとして確立するために認知度向上を主眼とし、展示会参加、冊子作り、イベント参加、アンバサダー設立などを行います。

さらには、種苗の陸上養殖の可能性に関して、アクアポニックス手法の実験にもチャレンジします。

[写真1:アカモクの磯辺揚げ]

成果

■冊子作成

一般消費者がアカモクを購入する際に、配布できる冊子作りを行いました。内容は、イベント販売時によく聞かれる「アカモクとは何か?どうやって食べるのか?どこで売っているのか?」を情報として盛り込みました。さらに魅力発信として、アカモクの水揚げ場所、アカモク養殖プロジェクトの紹介を掲載しました。

[図1:アカモクパンフレット]

■イベント出展(消費者向け・法人向け)とアカモク認知度アンケートの取得

アカモクを直接消費者へ提案するために、桜えび祭りやしずまえマートなどのイベントに参加しました。その結果、561pを販売することができました。イベント出展(消費者向け)と勉強会など、アカモクを広める場において、認知度アンケートを実施しました。アンケート項目は、①静岡県民かどうか ②アカモクを知っているかなどの簡単な内容としました。

法人の販路を増やすために、SMTS2024(スーパーマーケットトレードショー)への参加、新商品「アカモク2連パック」の案内を県内外の人達へ3日間にわたり提案しました。

[写真2,3:イベント出展]

[図2:認知度アンケート]

■アンバサダーの設立

インフルエンサーとして活動している、静岡県出身の「中根もにゃ」をアカモクアンバサダーとして任命しました。具体的には、中根氏が出演しているK-MIX(静岡エフエム放送)でのPR、X(旧Twitter)での情報発信を行いました。Xでは2,600を超えるインプレッションがあり、ラジオ放送の翌日に商品の問い合わせ、ECからの注文が入りました。アカモクを知らない方がインフルエンサーのPR を起点として認知が向上するため、幅広い広報活動が可能となりました。

[図3:アンバサダー賞状]・[写真4:中根もにゃさん(右)]

■アクアポニックスアカモク商品展開

アクアポニックスとは、水産養殖のアクアカルチャーと、水耕栽培のハイドロポニックスからなる造語で、魚と植物を1つのシステムで育てる手法のことをいいます。静岡市三保地区で日建リース株式会社が地下海水を利用してサーモン養殖を行っています。その養殖場と連携し、養殖時に排出される海水(浄化前)の一部を利用してアカモク種苗の生育試験を行いました。

[図4:アクアポニックスアカモク(イメージ)]
 

 

[写真5:アクアポニックスアカモク]

結果として、魚活BOXで3回、立体撹拌装置で2回種苗投入をしましたが、アカモク以外の海藻が成長し過ぎてしまい、条件等を変えて対応しましたが、アカモク自体の成長は振るいませんでした。種苗の数に限りがあるため、今年度は中止としました。

まとめ

アンケート取得によって、消費者の認知度がはじめて見えてきたので、今後は自主事業として数年に1度はアンケートを取り、販売戦略に反映していきたいと思います。展示会出展を行うことで、ラーメンやお菓子などのニーズをヒヤリングすることができました。今後はラーメン店を運営している会社へのメニュー提案なども検討していきます。

アクアポニックスアカモクの商品化については、課題が見えてきたこともあり、由比漁港で小さな水槽で魚を育て、その排水を注水する試験運用を行い、商品化に向けた検討をします。

1年間のPR活動を通じ、2022年での販売数4,315個に対して、2023年の販売数が9,947個となり、着実にビジネスとして拡大してきたと言えます。

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