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地域課題に係る産学共同研究委託事業
基礎コース
枯渇するリン資源の効率的な回収方法および高純度精製技術の開発
[委託先団体] 三和建商株式会社
[連携大学] 静岡大学工学部 教授 孔 昌一
目的
国内のリン資源は枯渇し、すべてを海外輸入に頼っています。なかでも高純度リン物質(黄リンとして)は、産業界用途(半導体やリチウムイオン電池材料など)でも益々期待される貴重な基礎資源であり、価格高騰が続いています。
そこで、下水汚泥焼却灰や鶏糞など含有量の多い身近な副産物から、リンを高純度で効率よく回収する新規プロセスの技術開発を行います。さらに経済収支バランスも検討し、実用化の可能性評価を行います。
進捗状況
1.リン回収プロセス
未利用有機副産物を薬品で可溶化し、リン酸水溶液(H3PO4)を抽出した後、熱処理還元炭化炉で黄リン(P4)にまで反応させます。一連の反応式は次のように考えられます。
4H3PO4 + 16C → 6H2 + 16CO + P4 ・・・ (1)
2.実験装置の製作
直径8cm、長さ1mのセラミックチューブを管状電気炉(A、B)の中心にセットし、チューブ内は炭化材として活性炭を充填しました。管状電気炉Aにリン酸を含浸させた試料を置き、N2ガスを送りながら還元反応を行い、管状電気炉Bにおいてリンを気化させ、水中に黄リン沈殿物をトラップする仕組みです(予備試験の結果、単一炉で行うよりも、還元部Aと気化部Bを分けた方が安定性もよく、二段方式に変更しました)。
[写真1:実験装置(左側A部、右側B部)]
3.リン回収実験
現在、電気炉A、B部の反応温度、リン酸の量と濃度、N2ガス流量など、反応条件を変化させながらリン回収実験を行っているところです。目安としてはA部600℃、B部1,000℃付近がよさそうなこともわかってきました。
[写真2:電気炉内部のセラミックチューブ]
今後の取組みは、反応条件の最適化を図ります。リンの純度(目標値90%)、回収率については、静岡大学工学部内地域共同センター所有の専用分析装置で評価していく予定です。また、実際の反応は(1)式で表現されるほど単純ではなく、反応理論的な解析を静岡大学工学部孔教授とともに行います。さらに実用化の可能性評価も行っていきます。
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