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地域課題に係る産学共同研究委託事業

令和5年度 研究成果 コーヨー化成

応用コース

静岡の薔薇を使ったピュアローズウォーターの開発

[委託先団体] 株式会社コーヨー化成
[連携大学] 常葉大学健康プロデュース学部 准教授 寺島健彦
[連携団体] 静岡県工業技術研究所

目的

静岡市は、清水地区を中心に県内最大級の薔薇産地です。当社は静岡の薔薇を生かした地域ブランドの化粧品開発を目指し、静岡バラプロジェクトを通じて活動してきました。

本研究事業で構築した薔薇エキス(ローズウォーター)の抽出技術(水蒸気蒸留法)と化粧品ノウハウを生かし、ローズウォーターを「生」の状態で感じてもらいたいとの強い思いから、防腐剤や香料等を一切使用しないローズ水100%の無添加ピュアローズウォーターの開発を目指しました。

研究成果

■製品の安全性

殺菌処理後のローズウォーターについて、保存安定性を評価するために加速試験を実施しました。6ヶ月経過後のサンプルにおいて経時的な変化はなく、通常の流通下において3年間安定であることが推察されました。皮膚への安全性について、24時間閉塞ヒトパッチテストの結果、皮膚刺激指数による香粧品の分類で「安全品」の評価を取得し、皮膚への安全性に問題のないことがわかりました。

【24時間閉塞ヒトパッチテスト試験結果】

[表1:判定基準:皮膚刺激指数による香粧品の分類]

[表2:試験結果:被験品の皮膚反応
および皮膚刺激指数(被験者数:44名)]

■製品の品質評価【生菌数試験(/g・ml):基準値≦100*1(細菌・真菌)】

殺菌処理後のローズウォーターについて、生菌数試験を実施しました。6ヶ月経過時点において細菌数及び真菌数nは≦10(検出限界以下)であり、品質基準である≦100*1(細菌・真菌)を満たしているため、微生物汚染による品質汚染は確認されませんでした。

■ローズウォーターの成分分析

ガスクロマトグラフィー質量分析計GC-MS(SPME)にて、サンプリングしたローズウォーターに含まれる薔薇特有の香気成分「3,5-Dimethoxytoluene(以下、DMT)」を測定しました。成分分析の結果、蒸留後のサンプル及び殺菌処理後のサンプル共にDMTが確認され、主要成分のDMTはピーク面積値で7割以上、他の主要な成分についても概ね8割程度保持されていました。

[図1:ピュアローズウォーター (Lot No.230926)の香気分析によるTICチャート(UHT殺菌前)]

 

[図2:ピュアローズウォーター (Lot No.230926)の香気分析によるTICチャート(UHT殺菌後)]

常葉大学にて学生18名に対して試作品の使用感アンケートを実施し、全体の約半数である47%で「良い」又は「とても良い」という意見が得られました。

まとめ

ピュアローズウォーターの保存安定性及び皮膚への安全性ともに問題ないことが確認され、殺菌処理後のローズウォーターにおいても主要香気成分(DMT)が保持されることが明らかになりました。

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