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地域課題に係る産学共同研究委託事業
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令和7年度 進捗状況 株式会社エピネス
基礎コース
静岡・三保半島の観光地引網活性化事業 -伝統文化と海洋科学の融合-
[委託先団体] 株式会社エピネス
[連携大学] 東海大学海洋学部 特任准教授 藤岡 紘
[連携団体] 三保地引網保存会、庄兵衛丸
目的
三保沿岸では、海洋環境の季節変化や気候変動、黒潮変動などの影響により魚種組成が変動しているものの、その実態を検証するための科学的データが十分に整備されていないことが課題となっています。また、地引網の魅力向上に不可欠な、科学データに基づく情報発信手法が確立しておらず、SNS等を活用した効果的な発信体制の構築が求められています。
本研究では、地引網による漁獲データ(魚種組成・体サイズ)と海洋環境データを統合的に解析し、三保沿岸域における魚類群集の季節変動と環境要因の関係性を明らかにします。さらに、得られた知見を基に科学的根拠に基づく地域資源情報を発信し、地引網体験価値の向上および地域振興への貢献することを目的とします。
進捗状況
2025年7~10月にかけて、地引網保存会による計14日間の操業のうち8日間で科学調査を実施しました(写真1)。水揚げ物の全数把握、魚種組成および体サイズ測定を行い、撮影画像を研究室で解析した結果、画像計測値が現場実測とほぼ一致する精度で運用可能であることを確認しました(写真2)。同日に水温・塩分などの海洋観測も実施し、操業地点の鉛直的な海洋構造を継続的に記録しています。

[写真1:地引網の科学調査の様子]

[写真2:地引網で捕獲した魚の測定]
これまでに、24科50種・3,302個体の出現を確認し、マダイ・ヘダイをはじめとする南方系魚種の来遊を把握しました。特に、季節的な水温変化とマダイの体サイズと間に明瞭な関係性が見られ、春季の低水温期に大型個体が多く漁獲される傾向が示唆されました。現在は、魚種同定・データベース整理を進めながら、季節変動に関する統計解析を進行中です。
科学的根拠に基づく情報発信体制の構築として、独自Webサイトの公開準備が最終段階にあり、漁獲データの可視化、研究内容の紹介、魅力的な写真素材の掲載など、地域に開かれた情報発信基盤の整備が着実に進んでいます。
今後は、調査の継続によるデータ蓄積と環境データの統合解析をさらに進め、三保沿岸における魚類来遊特性の解明と、地域資源価値向上への実質的貢献を目指します。
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