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地域課題に係る産学共同研究委託事業
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地域課題に係る産学共同研究委託事業
令和7年度 進捗状況 合同会社すまうと
基礎コース
家具用天然系接着剤の曲げ接着性能評価とセルロースナノファイバーの添加による高性能化検討
[委託先団体] 合同会社すまうと
[連携大学] 静岡県立農林環境専門職大学生産環境経営学部 准教授 藤代 薫
目的
弊社では、化学物質過敏症などへの配慮から、家具の組み立て時に天然系接着剤(カゼイングルー、デンプン糊)を使用しています。しかし、天然系接着剤は、合成樹脂接着剤に比べて接着強さが低く、既存文献においても物性値が十分に整理されていないのが現状です。
そこで本研究では、近年プラスチックへの添加により補強効果が認められるセルロースナノファイバー(CNF)およびセルロースマイクロファイバー(CMF)を天然系接着剤に添加し、静的・動的曲げ接着強さおよびせん断接着強さの向上を試みました。
進捗状況
静的及び動的曲げ接着強さは、試験片作製及び測定を実施中です。一方、せん断接着強さの測定は概ね完了したため、概要を報告します。
供試CNFには、スギノマシン製のBiNFi-s IMa-10002(MCNF-L:長繊維)、FMa-10002(MCNF-S:短繊維)、および富士工業技術支援センターで試作したTEMPO酸化CNF(TCNF)を使用しました。供試CMFには、TENTOK製のCL-PL(CMF-L:長繊維)とCL-MAS(CMF-S:短繊維)を使用しました。なお、本報においてセルロースファイバー( CF) と記載する場合は、CNF、CMFの総称を指します。被着材にはブナ( Fagus crenata Blume) を使用し、各接着剤を用いて作製した2-plyの集成材から試験片を切り出しました。圧縮せん断接着強さの測定は、JIS K 6852:1994に準じて実施しました。
測定の結果を図に示します。デンプン糊では、CNF固形分を接着剤固形分に対して1または2phr添加した場合、せん断接着強さが最大で23%向上しました。しかし、CMFでは、いずれの添加量においてもせん断接着強さは低下しました。カゼイングルーでは、CNF、CMFのどちらを添加しても、せん断強さは低下しました。これは、CFによりカゼイングルーに硬化阻害が生じた可能性が示唆されます。


[図:デンプン糊及びミルクカゼインの固形分に対するCF固形分の添加比(phr)]
今後の予定
引き続き、静的および動的曲げ接着強さの測定を実施し、CF添加効果の総合的評価を進めます。
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