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地域課題に係る産学共同研究委託事業

令和7年度 進捗状況 萩錦酒造株式会社

基礎コース

登呂遺跡の古代稲作で栽培した赤米による清酒製造と野生酵母清酒開発による日本酒ブランディングの基礎構築

[委託先団体] 萩錦酒造株式会社
[連携大学] 静岡大学人文学部 教授 横濱竜也
[連携団体] 静岡市登呂博物館 

目的

登呂遺跡内田圃にて静岡大学の指導・協力の下、地域住民等のボランティアも参加して行われる「古代稲作」により赤米を栽培し、これを使用して清酒を製造します。稲作や試飲会、和食展巡回展関連イベントといった場で周知と、清酒に関する購買者の意識調査を行います。

さらに登呂遺跡の植物から採取した野生酵母による清酒製造のための選抜試験の準備を行います。

進捗状況

本共同研究の目的から、主要な課題は、(1)登呂遺跡内田圃での「古代稲作」による赤米栽培、(2)この赤米を使用した清酒製造、(3)稲作ボランティア、試飲会、和食展巡回展関連イベントにおける周知、購買者の意識調査、(4)登呂遺跡の植物から採取した野生酵母開発、の4つとなります。

(1)について、静岡大学登呂農耕文化研究所長の篠原和大教授の指導の下、同大学発酵とサステナブルな地域社会研究所(以下:静大発酵研)の運営により、5月初めに田起こしを行ったのち、代掻き、田植え、草取り、稲刈りを経て、11月下旬に脱穀、籾摺り・計量を終えました(写真1)。申請段階では50㎏の収穫の予定でしたが、今期の収穫は94㎏ほどで予想外に多くなりました(写真2)。

[写真1:登呂遺跡での赤米栽培の様子]

[写真2:今季収穫した赤米]

(2)については、今後、この赤米を萩錦酒造に運び込み、赤米酒の試験製造にとりかかる予定です。今年度の赤米酒完成は来年2~3月の見込みです。

(3)では、稲作ボランティアとして、大学生と社会人が毎回10~25名ほど協力してくれています。試飲会は、関係する大学教員、自治体、企業の方々等を集め、赤米酒完成後に開催予定です。その際、参加者から得た感想を来年度の製造にフィードバックします。和食展巡回展に関連した第3回講演会「登呂遺跡の米作りと酒の表象」(11月8日、静大発酵研主催)では、登呂遺跡田圃での赤米栽培、また能・狂言における酒や酔いの表現等、日本の酒文化の一側面を扱い、好評でした。さらに、「静大教員ら 日本酒づくりに奮闘」のタイトルで、登呂遺跡での赤米栽培と赤米酒づくりが掲載されました(10月29日朝日新聞朝刊)。

今後の予定

赤米酒づくりはこれからです。昨年の大村屋酒造場の試験製造をふまえつつ、好結果を得るように酒造を進めます。また、野生酵母については採取と単離された酵母の適性検査を行いました。今後清酒製造により適した酵母の単離、育種を、態勢を強化して進めます。