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地域課題に係る産学共同研究委託事業

令和7年度 進捗状況 株式会社鈴生

応用コース

人工飼料による養蚕技術を核とした機能性魚飼料の開発と循環型食料生産への展開

[委託先団体] 株式会社鈴生
[連携大学] 静岡県立大学食品栄養学部 助教 大原裕也、東海大学海洋学部 教授 秋山信彦 

目的

産業用昆虫であるカイコは、絹糸の原材料として重宝されてきましたが、食品や飼料としての可能性は十分に開拓されていません。

本研究では、規格外の野菜を配合した自社製の飼料で生産したカイコを活用し、養殖魚向け機能性飼料を開発します。この研究を基盤として、地域資源を活かした循環型食料生産モデルを創出します。

進捗状況

規格外の野菜を活用した自社製人工飼料により、カイコ(錦・秋×鐘・和)を約15,000頭飼育し、18.5kgの蛹を回収しました。一部は生のまま県立大学に提供し、残りはマイクロ波減圧乾燥・粉砕し、4.4kgの蛹粉末を県立大学および東海大学に提供しました。

(1)ホンモロコを対象としたカイコ配合飼料の研究  

カイコとミズアブをミール化して栄養分析を行った結果、いずれも粗タンパク質が60%以上と高く、動物性飼料資源としての利用可能性が示されました。特にカイコ粉末はオメガ3脂肪酸の含有量が高く、優れた供給源となる可能性が確認されました。

その後、魚粉20%をカイコまたはミズアブ粉末に置換した配合飼料と、魚粉20%配合の対照飼料を用意し、ホンモロコ(各群10尾×3水槽)を対象に飼育試験を実施中です。10週時点ではカイコ配合飼料群が重量が最も高く、オメガ3脂肪酸が発育促進に寄与していると考えられます(図)。今後は給餌量を増やして成長効率や嗜好性を検証し、15週時点で魚体の栄養分析を行う予定です。

[図:ホンモロコ飼育実験結果]

(2)養殖実証試験

現在までに、飼料設計を行い、日本農産工業株式会社に飼料を委託製造し、飼料が完成しています。また、試験に用いるニジマスは、富士養鱒漁業協同組合から購入し、体重約300gまで育成した60個体で(写真1)、現在海水馴致中で(写真2)、塩分28psuとなっています。

[写真1:実験に用いるニジマス]

[写真2:実験水槽の外観] 

11月下旬には海水の塩分まで上がる予定で、その後試験飼料を3水槽それぞれで給餌し、成長及び、脂質、アミノ酸組成について分析し、飼料として評価する予定です。